―広間―
[>>796 『場』に囚われていたものと、使用人たちのみになった広間で、うっすらと色素が抜けて血の色の染みる赤い目をあける。
息を吸いこむのも、痛みを感じる。肋骨かどこかに皹が入ったようだったが、仕方がない。痛い痛い痛い熱い、生きている。涙が出るほどの痛みの中でも、生きている]
…………はよ。
[精一杯の、言葉を紡いで、色素が吸収しえない光の痛みを堪えるように、目を閉じた。クレメンスが『人狼』を弾いた時に、一緒に弾かれてしまったらしい。陽の当たる道を行こうとすると、文字通り光が自分の目を苛むだろう。彩りのないモノクロの世界の中で、彼女の金色の髪も見えやしない]
[それでも、声をかける。茫然自失している彼女に、寝転がったまま、何度も、何度も、気付くまで]
ミハエラ、……ミハエラ。
フレデリカ、そんな顔するなよ
[彼女は気付いただろうか]