─学院北館・とある導師の研究室─
「……お、大体終わったか」
[広い空間に、テーブル一つと椅子が数脚。
後は乱雑に積み上げられた本の山が点在するその部屋の主は、手にした本のページを捲る手を止めて小さく呟いた。
その呟きに、紫色のクッションの上に寝そべっていた水晶の如き鱗の龍がす、と視線をそちらへ向ける]
『終わった? それじゃ』
「ああ、片づけが終わったら、一仕事あるな。
……ま、中々面白そうなモノが落ちてきたようだし、いい暇つぶしになるだろ」
[ぱたむ、と漆黒の書を閉じ、テーブルの上を見る。
視線の先のあるのは、真紅の布の上に置かれた金色の欠片]