―二階廊下―
ウロコって言えば咄嗟に魚しか思いつかなくて。
[そう言って苦笑い。
イレーネが目を逸らして、首を傾げた時。
天井からなにか音が聞こえた気がして見上げる。なにか黒い影が天井にぶら下がっている。と、それが頭上へ落ちて来た。後ろへ尻餅をつくとどさっと音を立てて廊下へ。]
蛇っ。
[悲鳴を飲み込み尻餅をついたままざざっと後退り、様子を見る。廊下の端、1の部屋の前辺りで黒と灰色のまだらの蛇は上半身を起こして歯をむき出しにする。
歯は独自の進化を遂げていた。まるで、ネズミの歯のよう。食べ物がなくいばらを食べて生きられるよう進化したか改造されたかしたらしい。]
あ、こいつのウロコ、か。
[蒼白な顔で納得した。]