[それでも牙で掘り進めて、内側にある赤い実を掘り当てると舌で実を舐めた。
銀はそこまで深く刺さり、それを縫いとめているようだった
不注意で舌に触れた銀が熱い――]
ぁ……ぐっ
[舌を焼く痛みに小さく呻きながら、銀を少しずらし抜きはせず避けるだけ
同胞を死に至らしめた楔を抜かなかったのは、その先調べられる事を恐れたため。
なるべくそのままにして、その先が無くなってしまった事に気づき難いようにと。
人に対するように引きはがさず枝に収めたまま、
牙で齧り取り実を分けて、赤い舌で欠片を掬い喉に流し込む
ぷっ、と小さな管が切れる音は、人のそれと変わらない。]
『甘くて、良い香りがするけど
あなたの心臓は、嫌い。』
[一人赤い世界に呟きながら、
それでも実は捥がれ、腹の中に収められた。*]