─事件直後・宿─
[一息ついたところで鳴り響くノックの音]
[開いてる、との声に扉を開けたのは行商人だった]
事件が終わったのにお前が訊ねて来るとは珍しい。
[向けられた笑みにわざとその言葉を紡いだ]
[その瞳にまだ終わらせまいとするものを見たために]
ああ、その話は聞いた。
まんまとしてやられたな。
さて……内容にも寄るんだが……。
お前がそうやって出してくると言うのなら相当なものなんだろう。
良いぜ、買ってやる。
[相手がこう言う時に出す情報の価値の高さは知っている]
[僅かにだけ渋る様子を見せてから、承諾の言葉を向けた]