[笑われても怒ることもできなかった。抱き寄せられて大人しく聞きながら、頭の中は沢山の記憶が飛び交っていた。ユリアンが村から出てゆく日のこと。戻ってきた日のこと。幼い頃の会話。大人になってからの会話。握り合っていた小さな手。不意に触れた大きな手。気まぐれを体現している青年はまた外に出てゆくかもしれないのだからと、見て見ぬ振りをしてきた感情。エーリッヒに抱いていたのと同じようで、何かが決定的に違う感情]…ぁ。[言われてようやく理解が出来た。それは自分も言いたかったことなのだと]