あ、いたいた![ちょうど露天を畳み終えたらしい、行商人の師弟に声がかかる。かけた当人はとは言えば、華やかな祭りとはいえ、やや場違いな正装。緩やかなウェーブの髪は、アップにして造り花が飾られており、スカートを摘んで駆けてくるさまは危なっかしかった。慣れない長いスカートに細身の靴は、実際に危なかった]逃げるんじゃないかなーって思ってたんだけど、大丈夫そうかしら。[こて、と首を傾げるさまは、弟と似ている。言っていることは失礼だが]