「もう泣かないでよ、ベッティ。」
……えっ!?
[その時ウェンデルの声が聞こえたような気がした。
ハッと辺りを見渡す。だがその姿をこの眼は捉えることは出来ず、]
「泣いてると悲しくなるよ。」
ウェン…………くん…………
[幻聴なのかもしれない。ウェンデルが自分を想ってくれているなんていうのは、自分の都合の良い妄想なのかもしれない。
嗚呼、でも──]
…………(ぐしぐし)うん! そうだよね、泣いて悲しませるなんて皆に申し訳ないよね。
決めたんだもの、強く生きるって。だったら、皆の前で泣くなんて、駄目だね。ああ、駄目だ。全ッ然駄目だともさ。
…………だから、皆。そんなわたしを見守って、折れちゃいそうな時は支えてくれると、嬉しいな。
[目元を拭い、にかっと笑う。]