[サク――][森の緑を覆う白雪を踏み締める。腕の中、柔らかな布に包まれた少女に、あたたかさはなく、軽かった。不意に歩を緩めて、ゆっくりと振り返る]この辺りだっけ?昔の「秘密基地」。[本当はそんなに大したものじゃない。けれど子供の目には、森の深くにひっそりとある木のウロは、冒険心くすぐられる場所に映ったものだった]