ジットちゃんにとっては普通でも。俺にとってはそうじゃなかったんだよ。[自分が後ろを振り返らずにいるのは、支えてくれるものが無いことを確認したくないからだった。根を張らない生活、それを厭ったことはなかったけれど。根源的な不安も常に共にあった。逸らされた視線に指は止まり、湖の色は少しだけ寂しそうに光る]