[軽く恐慌状態だったところへ、薄く声が聞こえた。 次の瞬間、もう少しというところで持ち上がらなかった 前方の壁――どうやら蓋だったらしい――が持ち上がり、 視界に光が飛び込んでくる]アーベ、ル――?[光に驚いた目はきゅっと細められ、 通気口から零れる己が翼に埋もれるようにして]外――出られ、た。アーベル、会えた――。[半泣きだった顔が笑みを作る]