─ 山頂 ─
[風に揺れる花を見つめる。
『外』に吹く風は都市のものと同じだろうか。
風にも降る雨にも触れられぬ心の形は其れを少し残念に感じる]
――…うん。
[クレイグの思いを聞いて確かな頷きを向けた。
綴って残り継がれてゆくクレイグの『本』。
そんな、ありえたかもしれないもう一つの未来。
静かに目を閉じてその景色を想像する。
天上青にも負けぬくらいに幸せで美しい日々の色。
それが潰えた現実に戻ればまた鉛色の空がある]
本屋にクレイグの『本』を残す事は出来ないけど
聞き手が僕ってのも物足りないかもしれないけど……
クレイグが綴る言葉を、物語を、聞かせて欲しい。
クレイグの言葉を、僕が覚えていたい。