人狼物語 ─幻夢─

84 廻る刻・待宵歌


道具屋 エト

─ 山頂 ─

[風に揺れる花を見つめる。
『外』に吹く風は都市のものと同じだろうか。
風にも降る雨にも触れられぬ心の形は其れを少し残念に感じる]

 ――…うん。

[クレイグの思いを聞いて確かな頷きを向けた。
綴って残り継がれてゆくクレイグの『本』。
そんな、ありえたかもしれないもう一つの未来。
静かに目を閉じてその景色を想像する。
天上青にも負けぬくらいに幸せで美しい日々の色。
それが潰えた現実に戻ればまた鉛色の空がある]

 本屋にクレイグの『本』を残す事は出来ないけど
 聞き手が僕ってのも物足りないかもしれないけど……

 クレイグが綴る言葉を、物語を、聞かせて欲しい。
 クレイグの言葉を、僕が覚えていたい。

(904) 2013/08/14(Wed) 21:18:18

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