─数年後─
[一人の女性が歩いている。
まだ、大人と呼ぶには少し早い、真っ白い髪をした女性。
眸は色素が薄いのか黄色味がかっているが、白目かと見紛う程に白い。
彼女は村の外れに建てられていたという集会場の場所を訪れた。既に、木造の家屋は忌まわしい記憶と共に撤去されんと言いたげに、そこには荒れ地がただ残っているだけで、僅かに、ぽつぽつと疎らに生えた雑草の合間に小さな花が見えているだけだった。
五月の爽やかな風が、緩と嘗て名乗っていた少女の髪を撫でていった。]
[さぁ……さら……ららら……ざぁ……]
[靡く髪に散った小さな花びらが紛れ込み、細い指で摘む]