―屋上―[そこには星空が広がっていた。本物の星だ。まぶたの下でみたものじゃない。食い入るように見つめた。][アズマは何も考えていなかった。頭の中は真っ白で、ただ星空が広がっているという認識だけでいっぱいになっていた。][ばいばいと、宮町の声が聞こえた。隣を見れば宮町が消えていくのが分かった。握っていた手のかたちが、そのままで残った。][じっと宮町がいなくなった場所をみつめた。ばいばいということは、彼女はもう心配ないということなのだろうか。よくわからない。頭を振った。]