[そんなある日の晩、不意に目が覚める。
両親の話す声が聞こえ、そっと足音を忍ばせて近づいていく。エーファにあって自分にないもの…]
「ねぇ、あの子、本当は…」
『そんなことあってたまるか、エーファが死んでよりによってフォルカーのほうが生き残っただなんてな』
「そうよね…、フォルカーと違ってあの子は祝福されてるはずですもの」
『少し事件前後でさびしかったりしてるだけだ、そのうち忘れるだろう。エーファがいればそれでいいんだ』
[聞こえる会話に、鼓動が高鳴り、あの事件の時に感じたような、憎悪や殺意を覚えた。
自分を、この人たちは殺そうとしてるようなそんな感覚が沸いたような気がして。
けれども、それを実行に移さなかったのは、あの時エルゼリートを殺したときの感触を覚えていたから。
人を殺す、行為を行おうとすることは、それはとても簡単なことなのだろうけど、それ以上のものがあることを自分は*知っていたから。
来たときと同じように、足音を忍ばせてエーファのものだったベッドにもぐると、一人で声なく*泣いていた*]