[やがて、獣と化して湖から上がり、身震いして水気を払って。
衣乾くまでの間、木の根元に横たわる。
早く戻らねば、逆に心配を掛けてしまうであろうか。
緩やかに忍び寄る眠気に長い首を伏せ、ぼうと想うは時の竜の事。
抱き寄せられた、あの時の事]
………側に在るは苦しいなれど、離されるはもっと…
[苦しくて、哀しい。
招き入れられた腕から離されるは辛くて、自らそっと離れた程に。
零れる吐息が柔らかな緑を揺らし、白金の睫毛は帳を降ろす。
彼の腕の中ほどではなけれど。あの時、確かに感じた近さは未だ胸の中にあって。余韻に浸るよに*しばしのまどろみの中へ沈んだ*]