[それは全くの偶然か、仕組まれた出来事か。
施設を訪れた少年と、
実験体である少女との邂逅。
目覚めた少女に、訊ねられた少年は名を告げ――
それは、「対象」として設定される事になる。
"E" を有していたがゆえに。
その事実を知るものは、極少数。
それゆえに、彼女の組織への忠誠が、完全ではなかったことも。
そもそも、楔が完全に打たれていたのならば、裏切りなど、脳裏を掠めることすら無いはずだった。
最初のきっかけはどうであれ、その後の事は、作り上げられた状況だった。
彼女の裏切りの察知して泳がせた事も、
「楔」である彼と組ませた事も、
今回の「遊戯」のメンバー選出も――
そして、今現在の、この状況とて、全ては総帥の手の上に過ぎない。]