[青灰の髪の娘が、色の目をした幼子に手を引かれるまま草の上を歩いていた。
父が死んで10年、主等が知んでからは3年。
もう20になっていた。
好きだった人と同い年になった事が何だか妙な気分だった。
ほんの少しだけ背が伸び髪が伸びた。
白かった右手と両足は、うっすら赤黒さを残し、所々に痣と傷が残っていた。骨の形が変わり、指が少し歪んで、歩いたり細かな作業に少し支障がでるようになっていた。
切り札の残した痕だった。
元々ぼんやりする事がおおかったが、あの村を逃げ出してからは物思いに耽ることが多くなっていた。
今日も、幼子に手を引かれ草の上を歩きながら、思い出すのはあの丘での事。
思い出すと胸が痛み、表情は翳った。思い出すことが多かったから、憂いを帯びた表情が常となっていた。]