[言葉なく顔文字だけのメール。春らしいのかもしれない其れに震える指先で返信を打つ。『春の声が聞きたい。』我儘だと分かっていた。困らせるだろうことも分かっていた。それでも偽ることが出来ず心を曝け出すような文字が打ち込まれる。『これで終わりだなんてイヤだ。 話したいことも山ほどあるのに』春と久しぶりに会えて嬉しかった。あんな状況でも彼が居たから己を保ち向き合えた。彼の存在は佑一郎にとって大きかった。『春、逢いたいよ。』伝えきれぬ想いを短いメールに託して送信ボタンを押した]