[教会の鐘が鳴り響く。碧空の下を歩む黒の群れ。惨劇は終わりを告げれど、傷痕は残された。帰らぬ命を悼み、生者は祈りを捧げる。肉体は土に還り、魂は天の国に昇り、永遠の安息を――と。その中には知人の姿も在るのだろうか。違いの色を湛えた双眸を向けるも、遠く離れた樹上からでは、見えはしなかった。厳かに紡がれる歌。風に乗って流れる旋律。長く尾を引く、猫の鳴き声。異なるそれらが重なっていくのを聴きながら、眼を閉じた]