― 7年後 ―
「何だよお前、まだそんなガキみてーな端末使ってんの?」
いいんだよ、これは変える気ねぇから。
[片手で操作するそれを見たクラスメイトが笑うが気にしない。
子供が使うような端末。最低限の機能は果たしているが、それ以上の事はできないシンプルで、見た目も可愛らしいもの。無駄に防犯ブザーまでついて、うっかり鳴らしたこともある。
多感な年頃の少年が使うには恥ずかしいだろう代物を、至極大切に使い続けている。
その始めの方、今から7年前にもらったメッセージにはLockがかけられ、消えないように保存してあった。
あれから7年。9歳だった子供は、16歳の少年になった。まだ大人にはなりきれないが、体だけはずいぶんと大きくなっていた。
顔は母親に似ていたから、女顔を精悍にしたような感じでやや頼りなさが残るのは少し欠点だと思っていたが(学校の女子ウケはひどくいいが、そこにウケても意味が無い)。
身長はだいぶ伸びた。せめてそこだけでも父親に似て心底良かったと思っていた。
端末を操作しメッセージを送ると、ほとんど間を空けずに返事が返ってくる。
その内容をみてから、おしと今日の予定を決めた。]