「君、いい所の坊ちゃんなのに無茶苦茶庶民的な贅沢してるのね…」
突っ込みどころはそこ?
まぁ……爺さん婆さんは金持ち的な暮らししてたけど、そもそも父さん母さんとは普通な暮らししてたから。
母さん、一般人の暮らし方ってのに嵌ってたからなぁ……。
[子供の頃は全く疑問に思っていなかったが、いい所のお嬢だった母親は、庶民的な買い物、庶民的な料理、庶民的な(以下略)というのがえらく気に入って、充実した庶民ライフを送っていた。
別に父親の給料が悪かったという事はない。その証拠に、父親が残した金もまたけっこうな額だった。
弁護士の言うとおり、困ることも無いでしょうと店主は言う。それには苦笑というか、少し諦めたような笑いを浮かべて。]
持ってたら持ってたでこう、色々とさ…。
爺さん婆さん死んでから、余計に金持ってるのが知られてさ。方々から色々来るのはちょっとキツイよ。
[怪しい団体やら勧誘、寄付のお願い、遠すぎる親戚等、祖父母の家には毎日ほぼひっきりなしに知らない人が尋ねてきて辟易していた。
広い家に一人で暮らす不便もあり、結局こっそり引っ越して、あの大きな家はいまは無人だった。]