[家を売ることも考えたが、母の生家という事もあり、なかなか踏み切れずにいる。]
いっそ全部寄付なりして手放す事も考えたんだけどさー…一応、父さんとかが残してくれたモンだし、無碍にも出来ないし。
欲しいものとか必要なものは、大体手に入れてるから、それ以上は今は必要ないし。
[一番の贅沢品と呼べるものは、両足の義足だった。これだけは、旧型から新しく性能の良い物に変えてある。
機械の足でなく、生体部品を使うことも進められたが、それには首を振った。
過去の一件があって、自分とは違う生身の体を体につけるのは、何となく嫌だった為。
それでも性能がずば抜けて良いそれは、生身のものと殆ど動作に変わりが無いから、不自由は無い。]
投資とかも結構してみたけど、減りはしないしなー…。
[そう言うと、店主の口元には笑みが見えた。何を言わんとしているかは理解しているので、肩を竦める。]