[気のせいだったのかもしれない。
それでもそちらの方に駆け出してきょろきょろ周囲を見回した。
――もう、見えない]
……………
[口を開けて、言いよどむ。
言っても多分自己満足にしかならなくて。届かないかもしれなくて]
………ごめんなさい。
マリー先輩、ごめんなさい。
ごめん、なさい………。
[ぺとりと膝をついた。
影が見えたと思った方向に、頭を下げる。
今度はきちんと思い出す。自己紹介。外郎くれたこと。
独特の話し方。あの人が生きてたっていうこと。
あの人はゲームのコマやキャラじゃなくて、人間だったってこと]