―下町の部屋―
でも無事に戻ってきたでしょ。ねー?
[額には薄紅の見えるガーゼ。ただいまの挨拶に返ってきたのは強烈な豹ぱんちだった。
その母と異なり完全獣化のできない少女は、それでも普段より鋭い爪を残した手を震わせている]
だって…また3人一緒に暮らしたかったんだ……。
[帽子の無い頭で三角耳がへたりと垂れる。
まだ幼い少女は無言で睨み続けて、最後にガタンと立ち上がり]
「…ひとりになるのは、やだっ」
ん。ごめん。
[そぅと不揃いの髪を撫でた。
縋り付いて来るのを抱き返しながら、大きく息を吸いこむ]
それでね。更に怒られそうなんだけど……。