[何やら物騒な内容の言葉に返るのは、軽い調子の相槌。
声も喋り方も、かつてその呼び方をしていた相手と瓜二つのそれは、小さなチップの中にねむっていたもの。
こっそりと持ち帰ったチップ、その補助AIは宿していた性格ごと、この船──高速小型輸送艇『Rot Krone』のメインCPUに組み込まれている。
何故、そうしたのかは、自分でもよくわからない、けれど。
強いて言うなら、『何か』を遺したい気持ちがそうさせていた]
……っと!
[ざわ、と背筋が粟立つ感覚。
それに従い、艦を急上昇させる。
真下を過ぎる光にやれやれ、と息を吐いた所に伝えられる計算結果。
に、と、猫の笑みが口の端に、浮かぶ]