――…ねぇ。[呼びかける声はこれまでよりも少しだけ高い。それでもテレーズの音域には届かぬヴィオラの響き] 『私』もクレイグの声が好きだよ。 少しだけ不器用で、でも真っ直ぐな話し方も、好ましく思う。 キミの綴る文字が、とても好きだったんだよ。[何処か謡うように想いを言葉にのせる。左肩に咲いた待宵草のように綻ぶかんばせ。語り部見習いだった頃の素直さで繋いだままの手が離れぬようにささやかな力を込める*]