[ごめんね、とはいえなかった。私は彼を、ずっと傷つけてきたのに。狼に怯える彼に触れようとして怖がらせてしまったのに、彼が襲われたあの場にいたのに、守れなかったのに、それ以前、もっと前から。あの時、一生懸命に想いを伝えてくれたのに、良くわからないからなんて、身勝手な理由で断った私を、それでも嫌いにならずにいてくれたことも。謝っても、謝りきれないこと、ばかりなのに。それでも彼は、私の幸せを願ってくれているから。だから、精一杯の感謝を込めて、ありがとうだけを、伝えたくて。]