[訊ね返す声には、ん、と返事をするだけで。あの時とは惨劇の起きた時の事。しかしはっきりと口にするのは憚られたために曖昧に言った。己の子と言われると、その表情は柔らかなものへと変化し]…そっか。俺の、子。[泣く我が子に顔を近付け、その頭を優しい手付きで撫でた。己と同じ瞳、イレーネと同じ髪を持つその子は、紛れも無く己らの子で。死して尚、我が子に触れられることに、不可思議な今の状況に対して感謝した]