[あのとき、が差す具体的なものが分かっておらず。
あれどこかで会わせたっけ、などと見当違いも甚だしいことを思いながら。]
うん、顔少し似てるし、それに。
今は普通だけど、たまに体が狼になるの。
[幼いながらも身の変化は確実に起こっていて。
それを嬉しそうに語った。]
あ、う、ごめんね、ユリウス。
[母に代わり泣きじゃくる子に、少しの間だけでもほっぽいてしまった事を小さく何度も謝りながら、曲がった指で背を撫でた。
ユリアンが泣く子を撫でる様子を、見ていたらまた少し涙が出てきた。
そんな夢みたいな光景が、嬉しかった。幸せだと。
また幸せだと、思ってしまった。]