[ユリアンが笑ってくれるのが嬉しかった。
自分の子供のことをどう思ってるか分からなかったが、少なくとも嫌いではないというのは見て取れた。
何度も頭と、背を両親から撫でられて、ようやくゆっくり泣き声は沈んでいく。
ぅーぅーと、唸るような声に変えながら、子は父親を見上げた。同じ鳶色の瞳で。手はぎゅっと握られている。]
[肩を抱かれ目を閉じて、ふるっと首を振った。
嬉しかったけど、少し怖かった。
虹のように、この手はすぐに消えてしまうんじゃないかと思って。
子を抱きなおし、肩の手に自分の手を重ねた。
少し曲がった、歪な手を。]