[瞼を閉じてあさきゆめみし虚竜王。一方の彼女は、顎に指を当て思案。]…………今回の事件。結界に混じっていた主様の力の残滓。あれは隙間に結界の式を捻じ込まれたというよりは、『式が入るべき隙間が端から開いていた』という方が正確でした。そして、主様の力による強制的な結界内への転送。あれも皆様には不機嫌、とお伝えいたしましたが……主様の不機嫌にしては『あまりにも温過ぎる』。それこそ、主様は不機嫌で大陸すら沈めてしまう御方なのですから。ああ、もしや主様は今回の出来事について、端から総て……