[ユリアンに頭を撫でられると、すぅっと幼子の耳が一瞬、獣のそれへと変わり戻った。子は泣いたばかりで笑えはしないが、大きな目をぱちぱちと、何度も瞬かせて目の前の人を見上げていた。]
[肩に回った手の力が強くなる。
告げられた言葉にはひくと身を強張らせる。
ああ、これはやっぱり夢なんだと、目を閉じてまた静かに泣いた。
死者が蘇るなど夢でしかない。
当たり前の事なのに。
幸せが、近くて遠い。
いやだと、言ってしまいそうになった。
だけど、堪えて。代わりに小さく、頷いた。
震える指を、絡ませ強く握った。]
…うん。
ユリアン、ユリアン、名前たくさん呼んで。
もうその名前で呼んでくれる人、ユリアンしかいないから。