[注意され撫でられたら、暫くきょとんとしたあとで。
ようやく少しだけ、嬉しそうに幼子が笑った。
紺色の髪をつかもうと、精一杯手を伸ばす。]
…うん、ちゃんと、育てる。
この子も人狼様だから…。
[人狼に対する敬愛の念は決して消えはしない。
それが我が子であるのは、はたして幸せなことか。
いまはまだ分からない。
ただ母親にとって今はこの子だけが、生きるための全てだった。]
ちゃんと、育てて、いつかきっと、花を…咲かせて…。
いつか、きっと…
[ユリアンの腕に子供ごと抱かれて。
ぽつりと呟く声は、低い。]