― 解放後の宿直室 ―
[エピに入った……そんな認識が広がった。
階段を往復していた森が屋上へと上がっていったのは知らなくても、宿直室の窓の外。
灰色だった空に星のきらめきが見えるようになった。
(ああ……終ったんだ……)と、ほっとしたような、さみしいような感覚に襲われる。
きっと、もうこの場所にはいられない。
宮町や森のような未練のない桜子は、そう遠くないうちにこの場から消えてしまうのは確実で。
それは成仏なのかもしれないし、またどこかで生まれ変わるための準備なのかもしれないけれど――停まり続ける事ができないことだけはなんとなく理解した]