─あの騒ぎの後。
重症を負ったがエーリッヒの応急処置もあり、なんとか一命をとりとめた。
母親とはベットの上での再会となり。
治療費や生活費の事が気にはなったが、罪の無い自分を容疑者にしたてあげた点を村が恥じたのか、費用や生活費の事については誰も請求してこなかった。
自身の怪我が癒えた頃、それを見届けるかのように母親は静かに死んでいった。
もう此の村に残る理由は何も無いはずだったのだけれども。
怪我が癒えて村の中を歩き回った。
まだ村の皆の視線は特殊なものではあったが、自分への後ろめたさと母親を亡くした事への同情もあったのか、それらは居心地の悪さこそあれ、以前のモノとは違ってはいた。
たどりついたのは、ミリィの家。
寂しそうに笑いながら、ミリィの両親は彼女の部屋だった場所へと案内してくれた。
そこで彼の目に映ったものは…。
─数ヵ月後。
村長との交渉の末、今は持ち主の居なくなった宿を手に入れて。
(その際、どういう交渉を行ったのかを尋ねるものが幾人かいたが、それについては「さあてね?」と笑って返すのみ)