[不意に宿直室の扉が開く。 駆け込んできた一之瀬の姿を見て桜子は瞳をみひらいた]……蛍子先輩……[名を呼ぶけれど聞こえるわけもなくて。 死体が生き返ってないか確かめるように触れる仕草をじっと見つめる]なにも出来なかった、なんてこと、ないですよ。私は、先輩に助けられてましたから……[一之瀬の口から溢れた言葉に聞こえないとわかっていても声をかける。 伝わらなくてもかまわないから、今のうちに言いたいことは口にしようと――触れられない手で一之瀬の手を握った]