[軽くわき腹を押さえて苦い顔。古傷は今でも時折痛み、あの騒ぎが御伽噺ではなかったことを思い出させる。
先ほどまで居た客も勘定を払って居なくなり。
昼過ぎという時間もあってか、宿の中には客一人おらず。]
可愛いねーちゃんでもウェイトレスに雇った方がいいのかもしれねーなあ…。
[そう言ってから思い出したのは、メイド服を着た女性の姿。ついぞ約束は果たされる事は無かったが]
ま、料理が下手じゃあしょうがねえしな。
[再び珈琲を口に含む。と、カランと扉が開かれて、そこに現れたのは一人の男]
はいよー。いらっしゃい。
まあ、今なら何処でも座り放題だぜ。
もち、ご注文には御代を頂きますけどね。
と、あんたどっかで…。
[目の前に現れた男が何者か。思い出して目を丸くする。]