─ 遠いような近いような、未来 ─
[極度の痛みと疲労で気を失いそうになり、かけられる声に意識を引き戻される。
何回もその感覚を経て、ようやく。
待ち望んだ、小さな小さな、けれど確かな声が聞こえた。]
…ぁ……っ…?
[元気なお子さんですよ、とかお2人によく似てますね、とか。
周りでいろんな声が聞こえるけど、そんな言葉耳には良く入らなくて。
ただ、頑張ったね、と頭を撫でてくれる手のぬくもりと、懸命に泣いて生を主張している声に。
あぁ、生まれてきてくれたんだ、と実感した。
自分の命より大切な人が、愛されることを受け入れられる、命。
何よりも、大切な人と自分の命が合わさって生まれてきてくれた、子。]
よかった…生きてて、くれた…あり、がとう…
[腕の中に渡された小さな命に、そう、呟いた。**]