―ある人の故郷の海―
[ざばりと海から顔を出し、惜しげもなく肢体を日の下に晒すと、
近くを通りかかっていた船の上に居た猟師から手を振られたので、
こちらも笑顔で手を振り替えした。
人魚の祝福があれば、航海を無事終えられるとか、
その日の漁が大量になるとかいういわくが着き始めており、
あの地獄の歌声も、たまに歌を歌いたくなった時は事前にきちんと連絡を入れるよう
誰かさんに言い付かったので、そこはきちんと守っていた為
いたって地元の人らとは良好な関係を築いていた。
どうもマーメイドとローレライと混同されているが、
ローザにとっては些細な事ではなかったので気にして無い。]