[桜咲く季節――。
その花と同じ名を持つ後輩を思い出しながら
大学の桜並木を歩み新たな門出を迎えた。
幼馴染も同じように別の場所で門出の時を向かえているだろう]
『無事、医大に入学したよ。
卒業までの道のりが遠いけど、
ボクにも目標があるから、頑張るよ。』
――…色んなサークルに勧誘されたけど
また弓道部なんだ、って言ったら春は笑ってくれるかな。
[呆れた笑みでも良いから――。
そんな事を思う自分は女々しいのだろうか。
あの事件も彼の事も、他の皆も、一日たりとも忘れる事は無かった。
大学で新たな友が出来ても彼らの事がいつも心に残っていた。
いつものように友にメールを送る。
その携帯には友からのメールが大事に保存されたまま、ある]