─回想─
はぁ…あたらしい、先生…かぁ…
[何時間、どころか何日もかけてやってきた、新しいおうちはがらんとしていた。
ヴァルターはついてきてくれたけど、お母様ともお父様ともはなればなれで。
一人はいやだと言ったら、セイヨウのためだから仕方ない、と言われた。
あなたのためだと言われたら、イヤだともさみしいとも言えなかったけれど。
更には明日、ずっと診てくれていた医師も街に帰ってしまうとも言われて。
今日来る薬師が、これから自分を診てくれると説明をされたけれど、どんな人が来るのかと思えば不安しかなくて。
硬さの残る新品のベッドの上で、溜息をついた。
そこに、扉を叩く音が聞こえて思わず口を押さえて身体を少し起こした。]
どうぞ?はいってきて、ください。
[新しい先生が来た、そう思って声を返したけれど開いた扉の向こうにいたのは可愛い女の子で。
きょとんとした顔でこちらを見るその子と同じくらい、私もきっときょとんとしていた。]