─大陸のとある街─
[活気に溢れる港町。大きな造船所のあるその街に定期船が辿り着いた。船乗りが一人、手紙を手に造船所へ向かい、とある名を呼んだ。呼ばれた巨躯は仏頂面で応対し、渡された手紙を受け取る。船乗りに短く礼を述べると、休憩場所へと移動し手紙を開いた]
『よぉダニー、元気してるか? こっちは相変わらずだ。
……と言いたいところなんだが、この間でかい嵐が来ちまってな。
折角この間メンテしてもらった自慢の船がパァになっちまった。
悪ぃがまた船作ってもらえねぇか? 金額は割増すからよ!』
[親友から届いた手紙。それを途中まで読んで、手紙を持つ男の手に力が籠った。ぐしゃり、と紙が悲鳴を上げる]