― ***/教会 ―
…――、
[思う儘に動く事が叶うのは今や現に身を持たぬが故か。
心置く彼の身と、世話に成った彼の姉と、そして自分の身との在る場所へ。
引き寄せられた、のかも知れないけれど。]
……ゼルギウス、さん。
[あの時、保父を手に掛けようとした人。自分の血で、赤く手を染めた相手。
その傍らに、けれど佇んで思うのは、修道士を、皆を助けようとした彼の指。
眉を下げて、ふ、と笑う。]
…、……その手で、皆を、助けてあげてね。
[彼が"見"るのは現の者だ。届かないと知っている。
知っているけれど、唯、告げて措きたかった。]
皆を、…クレム兄さんを、よろしくお願いします。*