[ライヒアルトが自分に警告しようとしていることは解ったけれど、何についてかは解らなくて。
もしかしておなかが空いたのかな、死んだ後でもおなかって空くのかななどと考えていたのだけれど。
顎をなぞる指と言われた言葉に、ようやく意味は理解できた。
できたけれど。]
私、ライ兄のこと好きだよ?
[不埒なこと、と言われてもそういった事に無縁だったから何をするのかは漠然としか知らない。
自分の双眸のせいで本当の意味で深く人と関わろうとしなかった娘には、異性へ向ける感情もよく解らない。
だから、自分を見下ろし笑むこの人に恋をしているのかどうかすら、こうしている今でも自分ではわからない。
それでも、好きだと思うのは本当で。]
ライ兄がしたいことなら、私もきっと、したいんだと思う。
[それが、愛を伴わないものだとしても。
その行為で彼に満たされるものがあるならば、それで幸せだと思った。**]