― 後日 ―
[数日経ったか数ヶ月だったか数年だったか。
とにかくあの事件から暫く経った後、いつも通り墓の掃除を終えて教会に戻ってくると、ふと何かの声が耳に届いた気がした。
なんだと視線を巡らせるが、今度は聞こえない。
だが、明らかに何かが居るような気配を感じ、教会周辺を歩いてみると、少し裏手の方に何やら見慣れぬ物があった。
近付いてみると、そこには穴が開いている。
おそらく子供らが掘った落とし穴の類だろうと、軽く舌打つ。
だれか嵌ったらどうすんだと思いながら、念のために上から穴を覗き込んだ。]
………?
[黒い土に掘られた黒い穴だった為に、最初何が居るのかよくわからなかった。よくよく目を凝らすと、穴の中を何かがぐるぐる回っている。さらによく見ると、それがまだ子犬である事に気がついた。]