[ぼんやりと考え事をしていた。多分、謝らなければいけない人は、まだここにいる。あれ以来憂いを帯びた、幼馴染の笑顔も気にかかる。それに、“仲間”だった彼女や、自分を殺した彼は――]なんだ、未練ばっかりじゃないか、おれ。[自分には何もないと、死ぬまでは思っていたのに。懸念は次から次へと生まれてきた]それじゃあ、地獄行きは当分先だね。[春陽はまた微かに笑って、暫くその場に佇んでいた。血を思わせる赤が、黒に呑まれるまで**]