[いつの間にかピノ君以外のふわふわが、ユリアンを避けるようにして風に流されていった。あくまで捕まる気がないらしい。
そうやって頭の上に残った青色は、いつも通りふわふわしたまま、黙って二人の会話を聞いていた。
つぶらな目は相変わらず、傍から見ると何を考えているのかよく分らないのだが、別に何も考えていないわけではなく。
今もちゃんと、胡桃色の微妙な心の動きをちゃんと理解していたりする。
あ、そろそろ頃合なのかな?と
青色はいつぞや"食べた物"を、吐き出して見せることにした。
青色のふわふわしたどこかから、シャボン玉のようなものが出てきて空へとあがっていって、割れた。]
「――――、―――」
……?
あれ、ユリアン何か言った?
[ふいに聞こえた微かな音に、会話していた相手を見るも当人ではないらしい。
青色からまた、淡色の玉が出て空へと上がり、途中で割れる。
割れた先から、聞いた事のある声がゆっくり降りてきた。
忘れる事のない、忘れられない大切な人の声が。]