[後に、友人介して飼い主の所へ行ったものの、何やかんやあって、その黒い子犬は飼う事となった。要因の一つには、離れない、離そうとすると鳴く、などが上げられる。
肩にのっけたまま教会に戻って来て。えさをがっつく子犬を見る間、溜息つきながらも名前を考えていた。
ふにふに動いては揺れる真黒の毛並みを見ていると、ふと昔の事が思い出される。
そういえば、あの事件のすぐ後、夢のようなものを見た。
必ず会おうと約束した、歳若い人狼。]
……パす。
[パストゥレル、と呼ばなかったのは、もし子犬と彼女が同じだったとしても、あの名は彼女と狼らだけのものであって、他に聞かせたくないという意識が働いたためだった。
だから呼んだのは一部。
それでも子犬は、元気よく、その一言に口を動かしたのだった。]