良い向上心だ、その気持ちも忘れるなよ。
[返る声に口端を持ち上げた。
右脇腹の傷は大したことは無く、このまま続行するのに支障は無い。
元々の頑丈さを考えれば、傷のうちにも入らないのだろう。
剣を構え直すと、目の前で舞う土煙。
ナターリエの姿は見えなくなる]
視覚に頼るは愚、だな。
[呟くと、神経を研ぎ澄ませ瞳を閉じる。
地を駆ける音、息使い、気配。
それらからナターリエの位置を感じ取り]
……そこか!
[繰り出される切り払いに対してガチリと、長剣で受け止めた。
剣先を下に向けた、力の入りにくい体勢でありながら押し負ける気配は見せない。
ギチギチと、金属の押し合う音がする]